こんにちは、「転職案内人」です。現役の薬剤師として、いまは係長として5店舗を管轄しています。年収はおおよそ700万円。新卒で入社してから、ここに到達するまで実は12年かかりました。

最初に正直に言っておきます。「薬剤師は黙って真面目に働いていれば年収が上がる」——これは、新人の最初の数年だけの話です。

そこから先は、戦略がいります。動いた人だけが昇給し、動かない人は据え置き。それが、現場で12年間見てきた現実です。

この記事では、私が新卒から12年目までの間に「年収を上げるためにやったこと」を時系列で全部書きます。横並び昇給から抜け出して700万円に到達するまで、何を選んで、何を断って、何で揉めたのか。リアルな話だけ書きます。

これから年収を上げたい薬剤師さん、いま昇給が止まって悩んでいる方の参考になれば嬉しいです。


フェーズ1:横並び昇給期(1〜5年目)の限界

新卒で入社してから5年目くらいまで、私の昇給は毎年ほぼ15,000円でした。同期も、先輩も、ほぼ同じ額。いわゆる横並び昇給です。

このフェーズは、はっきり言って「がんばっても、サボっても、ほぼ同じ」。真面目に出勤して、ミスせず調剤して、患者さんにきちんと対応していれば、自動的に年15,000円。新人のうちは、これでも年収はそこそこ上がっていきます。だから違和感は持ちにくい。

でも、よく考えるとおかしいんです。死ぬほど頑張った人と、最低限しかやらない人が同じ昇給額。これって、頑張った側からすれば「割に合わない」仕組みですよね。

このカラクリに気づいたのが、6年目に入ったときでした。


フェーズ2:6年目以降、評価が「実績連動」に切り替わった

6年目以降、会社の昇給制度が実績連動方式に変わりました。つまり「同じ年次でも、評価によって昇給額が変わる」ということです。

ここで初めて、自分と同期の昇給額に差がついたんです。具体的にこんな感じでした。

数字を見て、私はあることに気づきました。

うちの会社の評価制度は、プラス採点じゃなくて「マイナス採点」だ。

どういうことか。満点(≒平均的な昇給額)から、動かない人は減点されていく仕組みなんです。プロジェクトに参加しなかった、週6勤務をやらなかった、新しい役割を引き受けなかった——そうやって「やらない理由」を積み上げた人ほど、昇給額が削られていく。

逆に言えば、最低限のことしかしていない人は、知らないうちに減点されているということ。これに気づいたのは大きかったです。「自分から動かないと、年収は上がらない」という会社の本音が、ここで初めて見えました。


フェーズ3:週6勤務+自主プロジェクト参加で同期に差をつけた

私が2年目から9年間続けたのが、週6勤務でした(10年目以降は週6を外しています)。

正直、しんどかったです。休みは週1だけ。家族や友人との予定は組みづらいし、体力的にもギリギリ。でも、ここを耐えたのが結果的に大きな差になりました。

それに加えて、当時社内で募集されていた自主参加型のプロジェクトにも手を挙げました。月1回の会議で、新規事業や新しい店舗運営の仕組みを考えるという内容。本業をやりながら、追加の負荷を引き受けに行く形です。

ここで大事なのは、この自主プロジェクトは「やってもやらなくても怒られない」種類の仕事だったということ。だからこそ、やった人と、やらなかった人の差が、評価にちゃんと反映されたんです。

「やらなくていい仕事を引き受けた人」を会社はちゃんと見ている。これは、いまでも後輩に伝えていることです。


フェーズ4:3年目の異動——チャンスは「動いた人」にだけ来る

3年目のある日、突然異動の話が来ました。当時、会社は10店舗ほど。何人か同時に異動する話だったのですが、私だけ3店舗を1人で担当する特殊なエリア勤務を任されました。

買取で増えた店舗を立て直すための異動です。他の同期が普通に1店舗勤務している中、自分だけ別ルートに乗った——そんな感覚でした。

このとき初めて分かったのは、会社は「動ける人」「面倒なことを引き受けてくれる人」を覚えているということ。

普段から週6で動いて、プロジェクトに参加して、面倒な仕事を断らない。そうしているうちに、「あいつに任せれば動く」という名前の貯金が会社の中に貯まっていく。チャンスは、その貯金がある人にだけ回ってきます。


フェーズ5:管理薬剤師に昇進、しかし手当の現実

4年目の終わりに、管理薬剤師に昇進しました。同期どころか、先輩を何人もごぼう抜きする形での昇進です。

手当は月+3万円。ただ、正直に言うと、体感的な「給料が上がった!」という喜びは薄かったです。というのも、すでに週6勤務で残業代込みの給料はそこそこ貰えていたので、増えた感覚は管理手当の分くらい。

ここで一つ、現役薬剤師としてのリアルな話をします。

管理薬剤師=劇的に年収が上がる、ではない。

もちろん手当はつきますし、肩書きも変わる。でも、責任の量と手当の額が見合っているかと言うと、人によって意見は分かれるところです。それでも私が管理薬剤師を引き受けたのは、「次のステップに行くための階段だ」と思っていたから。管理薬剤師にならないと、その先の役職には行けない構造でしたから。


フェーズ6:「200万売上で役職を作る」と社長から言われ、1年で達成した

管理薬剤師になってしばらくしたある日、当時の社長からこう言われました。

「月200万円の売上を作れたら、君のために次の役職を作るよ」

これ、いまから振り返ると最強の交渉成立だったと思います。「がんばったら何かいいことあるかも」じゃなくて、「数字で約束を取り付けた」わけです。

私はそこから1年で、その数字を達成しました。週6勤務で店舗にコミットして、商品構成も患者さんへの声かけも全部見直して、徹底的にやりました。

結果として、社内で初めての役職枠の話が動き始めることになります。

ここで皆さんに伝えたいのは、「漠然と頑張る」のではなく「数字で約束を取り付ける」ことの威力です。

「これだけの数字を出したら、何をしてくれますか?」これを上司や経営層に聞ける人は、社内で年収を伸ばしやすい人です。


フェーズ7:係長試験を一度断った理由——環境とセットで判断する

その後、会社で初めて係長制度ができるという話が出てきました。社長と複数の部長から呼び出され、「会社初の役職だから、君に期待している」と打診されました。

普通に考えれば、即答で「やります」のはずです。でも、私は断りました。

理由は単純で、そのとき自分が通勤1時間半の遠隔店舗に飛ばされていて、心が折れていたからです。

毎日往復3時間。家を出るのが早朝、帰るのが夜。体力的にも精神的にも限界で、「いまここで新しい役職を引き受けたら確実に潰れる」と判断しました。

ここで学んだのは、

役職の話は「肩書き」だけじゃなく、「通勤」「店舗の状況」「人間関係」まで含めて判断するもの。

肩書きと年収だけ見て飛びつくと、潰れます。役職を引き受けるなら、「どこの店舗で、どんなメンバーと、どれくらいの通勤距離でやるのか」までセットで確認すること。これは絶対です。


フェーズ8:「都市部の繁忙店舗」という詐欺案件と、それでも結果オーライにした話

その後、家を購入して引っ越しをした私に、新たな異動打診が来ました。

事前に当時の上司とは「車で40分圏内の近距離エリアで勤務」と話していたんです。ところが、ある部長から電話が来てこう言われました。

「都市部の繁忙店舗をやってくれ」

通勤1時間半。話が違います。断ろうとしたら、笑いながらこう返されました。

「断ってもいいけど、断ったら(さらに遠い)別の店舗だからね」

正直、ムカつきました。ただ、引っ越したばかりで土地勘がなく、しぶしぶ受けました。

事前説明はこうでした。「残業ない、忙しくない、人間関係いい」

着任してみると、全部嘘でした。

正直に言って、典型的な「異動詐欺」案件でした。このあたりで、妻と本気で相談しました。

そこで妻に言われたのが、こんな一言です。

「他の係長たちって、結局それぞれ自店舗1店舗だけ持って、そこの管理薬剤師業務+αをやってるだけだよね?あなたはいま、まさにこの忙しい店舗で管理薬剤師として同じことをやってる。だったら、係長受けた方が割に合うんじゃない?」

これは、目から鱗でした。「係長=特別すごい仕事をしている人」というイメージを勝手に持っていたんですが、冷静に当時の他の係長たちを見ると、それぞれ自店舗を1店舗だけ持って、そこの管理薬剤師業務+αをやっているだけ。そして、いま自分は都市部の繁忙店舗で、まさに同じレベルの管理薬剤師業務をすでに回している。

つまり、仕事内容はほとんど変わらない。なのに「係長手当+給料テーブル」が乗らないのは、明らかに割に合わないわけです。

ここで私は腹をくくって、次の係長試験に立候補しました。一度断った試験です。でも、いま動かなければ「都市部の繁忙店舗で疲弊する管理薬剤師」のままで終わる。それは違うと判断しました。

結果、合格。そのとき社長から言われたのは、

「今さらなんで来たの?」

……正直、トップとしてどうなんだと思いました。人を動かす立場なら、いま挑戦してきた人間を迎える言葉は他にあるはずです。このあたりから、「自分のキャリアを、いまの会社にずっと預けていいのか?」という違和感が、はっきりと芽生えはじめました。


核心の気づき:「プラス採点」ではなく「マイナス採点」の世界で生きている

12年間、現場で見てきた私の結論はシンプルです。

多くの薬局・調剤チェーンの評価制度は、プラス採点ではなくマイナス採点。

「がんばったから10万円上げる」ではなく、「動かなかった人から1万円ずつ削っていく」世界。だからこそ、何もしないこと自体がリスクなんです。

「真面目に働いてるのになんで上がらないんだろう」と思っている方。それは真面目さが足りないんじゃありません。会社が見ているのは「真面目さ」じゃなく「動いたかどうか」だからです。


年収アップに必要な4つの行動

私の12年間を整理すると、年収を上げる行動は4つに集約されます。

① 自主的に手を挙げる

プロジェクト、異動、新店舗の立ち上げ、面倒なシフト——「やらなくても怒られないこと」をあえて引き受けるのが、いちばん差がつきます。

② 数字で約束を取り付ける

「がんばります」では何も変わりません。「この数字を出したら、何をしてくれますか?」と上司・経営層に聞きにいく。私が役職を作ってもらえたのは、社長との「200万売上=役職」という約束があったからです。

③ 役職の話は環境とセットで判断する

肩書きと手当だけで飛びつかないこと。通勤距離、店舗の繁忙度、メンバー構成、事前説明の信頼性——全部含めて判断します。事前説明と実態が違う「異動詐欺」は、悲しいことに業界あるあるです。

④ いまの会社で頭打ちなら、転職を視野に

これがいちばん大事かもしれません。社内でいくら動いても、そもそもの給料テーブルが低い会社だと、限界はすぐ来ます。私が700万円まで来られたのは、12年かけて社内で動き続けた結果ですが、いま振り返ると、もっと早い段階で「外の市場価値」を確認しておけばよかったと思っています。


転職という選択肢——「外の物差し」を持つこと

私自身、いまの会社に不満が完全にないわけではありません。冒頭で書いた「異動詐欺」も、係長試験のときの社長の対応も、そして以前あった経営層から人を見下したような言葉をかけられたときも、「ここでずっとやっていくのか?」と本気で考えました。

そんなとき、現役の薬剤師として強くおすすめしたいのが、

「いまの自分の市場価値を、外の物差しで一度測ってみること」

です。

転職エージェントに登録すること自体は、無料です。転職する/しないは、後から決められます。ただ、「いまの自分は他社でいくら出してもらえるのか」を知っているかどうかで、社内交渉のスタンスも、心の余裕も全然違ってきます。

ちなみに注意点を一つ。転職エージェントの中には、急かしてくる・年収を意図的に低めに提示してくるところがあります。私が別記事でも書いていますが、エージェントは選んで使うものです。複数登録して比較する、自分の希望をはっきり伝える、急かされたら距離を取る——これだけ守れば、情報収集ツールとしては非常に有用です。


まとめ:自分のキャリアと年収は、自分で取りに行く

最後にまとめます。

私は12年かけて、横並び昇給から年収700万円までたどり着きました。ただ、いま20代・30代の薬剤師さんなら、もっと早く同じ場所まで行けると思っています。

なぜなら、私のときよりも、いまの方が転職市場が圧倒的に活発だからです。社内で動くだけでなく、外の物差しを併用すれば、12年かからず到達できる人はたくさんいるはずです。

自分のキャリアと年収は、誰も守ってくれません。自分で取りに行く側に回ること。今日のこの記事が、そのきっかけになれば嬉しいです。

転職を考えるなら、まず「外の物差し」を持とう

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※本記事の体験談は運営者個人のものです。会社・店舗・人物の固有情報は伏せています。